瑞牆山 摩天岩


2020年8月19日(水)
MATSU、マッサン、SGWくんと瑞牆の摩天岩に行ってきました。

摩天岩には「かぜひきルート」という5.10aの素晴らしいワイドクラックがあると聞いていたので、いつか行ってみたいと思っていたエリアです。
アプローチが1時間15分とかなり長いので、なかなか一緒に行ってくれる人は居ないと思ってましたが、先日「よろめきクラック」をレッドポイントしたばかりのMATSUとマッサンが、次は「かぜひきルート」をやるということで、僕も便乗して摩天岩デビューすることにしました。



「かぜひきルート」は瑞牆本では四つ星になっており、一体どれほどのクラックなのか楽しみにしていましたが、実際に見てみてあまりの美しさに感動しました。

今回のメンバーは全員摩天岩に来るのは初めてなので、まずはオンサイト権を賭けてジャンケン。
ジャンケンに勝ったマッサンが、一番手で「かぜひきルート」に挑みます。
大きなカムをたくさん持って、肘・膝にはサポーターも着けて、まさに完全武装。
覚悟を決めて合戦に赴く武士のような貌をしています。

僕はマッサンの次にトライすることになったので、オンサイト権を失わない為にマッサンのトライは見ないようにして、この間に他のルートを見物に行ってみました。



写真の真ん中右のフレアしたワイドクラックが「陽炎」の1ピッチ目で、その左のコーナークラックが「蜃気楼」の1ピッチ目。
2ピッチ目以降の様子は全く分かりませんが、「陽炎」は1ピッチ目からかなり難しそうです。
いつかこんなクラックを登って摩天岩のてっぺんまで行ってみたいです。



マッサンのトライが終わってから、僕も「かぜひきルート」にオンサイトトライ。

外からクラックを見ていたときは、「思っていたより短いな。日吉のビッグロックのオフウィズスの方がちょっと長いぐらいかな。」と思ってましたが、実際にクラックに挟まって登ってみると、ほんの2〜3メートル登ったところで、まるで100メートルぐらいダッシュしたぐらいの息の切れ具合。
上を見上げるとゴールはまだ遥か彼方で、思わず「マジかよ…」と呟きました。

ニーバーでレストして呼吸を整え、少しずつ登ってみますが、ほんの少し上がるだけでもかなりパワーを使わなければならず、いくらか登ってはレストを繰り返します。
レストの度に上を見上げますが、ゴールはいつまでも遥か先で、全くゴールに近づいている感じがなく、こんなにも努力と成果が見合わないクライミングは初めてでした。

“ワイドクラックは頑張っていれば落ちない”

前に何かの本で読んだそんなフレーズが僕の頭の中にずっと残っていて、ほんの少しずつでも登れているなら、諦めずに登り続ければ必ず登れるはずだという確信めいたものがありました。

しかしやっぱり実際にはそんな簡単なものではなく、全身の疲労は確実に蓄積していき、腕や足は少しずつ支持力を失っていきます。
少し登っては少しずり落ちて、それでもまた登って、そんなことを何度も繰り返しているうちに、だんだんと登るよりもずり落ちることの方が多くなってきました。

ずり落ちて、止まって、ちくしょうと呟きながらまた登り始めて、でもまたずり落ちて、頑張って止まったつもりが、また少しずつずり落ちて…。

(ああ、もう、ダメだ…)
とうとう完全に絶望した僕は、テンションのコールをして、ぐったりとロープにぶら下がりました。
ワイドクラックではない普通のルートで、ムーブが分からなかったり怖くなってテンションを掛けるのとは全く別の、とても大きな敗北感を感じました。

その後、何度もテンションを掛けながら少しずつ登って、なんとか自力でトップアウト。

登ってみて思いましたが、このクラックはトポにも書いてある通り、完全なワイド技術が要求されるクラックです。
僕が今まで登ってきたワイドクラックは、結局難しいところは他の技術で無理やり何とかなってしまうようなことが多く、いまいち釈然としないような思いをすることがありました。
でもこのクラックに関しては本当にワイドの技術が使えないとどうにもならなくて、こういうクラックをこそ、僕はずっと探していたんだと思いました。

今の僕にはまだとても登れませんが、このクラックで技術を磨けば、もっと上達できる。
ドラクエで言ったら、はぐれメタルがよく出てくる場所を発見したような、そんな気持ちです。



三番手はSGWくん。
SGWくんは外岩のワイドクラックはこれが初めてということで、ちょっと僕らに付き合わせて無理させてしまった感じがあります。
それでも根性で結構登ってました。



そして大トリはMATSU。
ここまでの3人はみんな登れませんでしたが、それでもこの男ならきっとやってくれるに違いないと思い、期待を込めて応援してました。
そしたら、やっぱりやってくれました。

かなり辛そうで、苦しい表情をして呻き声を上げながらの40分もの激闘でしたが、みんなの期待に応えてきっちりフラッシュするあたりは流石です。



その後、ちょっと時間が余ってマッサンがもう一回「かぜひきルート」にトライするというので、僕とSGWくんはカサメリ沢へ行き、SGWくんがトライ中の「トータルリコール」(5.10b)をやりに行きました。

「トータルリコール」は3年前に僕が初めて登れた5.10bのルートなので、登れたときの嬉しさは今でもよく覚えています。
この3年間で、スポートルートの最高グレードは一応5.11cまで上がったので、ゆっくりではありますが確実に強くはなってきているはず。
このペースでいけば、来年あたりには5.12aも1本ぐらい登れるかな、とも思いますが、でもワイドクラックでは5.10aも登れないクライマーというのもなんか嫌なので、どんなルートでも5.10台は普通に登れるぐらいの力を付けたいものです。


【今日の成果】
かぜひきルート(1P目)5.10aトップアウト(テン山)
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