甲斐駒ヶ岳


2020年2月5日(水)〜6日(木)
中央線の電車に乗って山梨を移動しているときや、中央自動車道を車で走っているとき、車窓から見える南アルプスの山々の中で、一際印象的な姿をした山があります。
大きくて、形も格好良くて、しかもなんか白っぽい。
僕がまだその山の名前を知らない頃から、なんだか知らないけど、カッコいい山だなぁと思っていました。

そんな甲斐駒ヶ岳に、いつか必ず登りたいと思っていましたが、やっぱり甲斐駒に登るからには、北沢峠からではなく黒戸尾根から登りたいと思っていて、そうなると登山口までのアクセスが不便なので、結局なかなか行けないままでいました。

しかしこないだ、公共交通機関マスターのマッサンと話していて、車がなくても行きやすい雪山はどこかないかなぁと聞いてみたら、甲斐駒なら小淵沢で寝て早朝にタクシーを使えば行きやすいと言われ、この度ついに黒戸尾根から甲斐駒に登ることにしました。

今回は久しぶりに単独でテント泊での登山。
憧れの甲斐駒ヶ岳への初めてのチャレンジが、まさか厳冬期の雪山登山になるとは思っていませんでした。

しかし天気予報では、5日から6日にかけて今シーズン最強の寒気が来るという予報。
冬型の気圧配置なので太平洋側はそんなには荒れないということですが、今シーズン最強というワードに若干ビビりながらも、朝の6時40分頃に、登山口の竹宇駒ヶ岳神社の吊り橋を渡って出発。



登山口からしばらくは雪がありませんでしたが、標高1200mを越えたあたりからしっかり雪が出てきました。



1時間に400mのペースでコンスタントに高度を上げていき、3時間ちょっと登ったところで、有名な「刃渡り」という場所に到着。

雪が積もっていたせいか道はほぼ平らで、普通にスタスタと歩いて通過できました。



さらに1時間ほど歩いて、五合目小屋跡に到着。
ようやく山頂の方が見えてきました。



ここまではノーアイゼンでしたが、ここから先は梯子と鎖場が連続するらしいので、ここからアイゼンを装着し、ストックをしまってピッケルを出します。

雪が少なかったので梯子は大体出ていて、特に問題なく登れましたが、雪が多いと梯子が完全に埋まってしまうこともあるらしく、そうなるとここから七丈小屋までの部分は急傾斜の雪壁の連続となり、ルート中の一番の核心となるらしいです。



垂直の鎖場が一か所あると聞いていたので、どんなものか心配してましたが、足場は登りやすい階段状になっていて、アイゼンを履いていても全く問題なく登れました。



出発からちょうど6時間で七丈小屋に到着。
13時より前に小屋に着いたら、1日目のうちに山頂まで行ってしまうのもいいなと思ってましたが、山頂の方は天気が悪そうなので、ちょっと早いですが1日目はこれで行動終了することにして、テントを設営して休むことにしました。



テントを張って中に入りますが、一人だと本当に何もすることがなくて、テントに入った直後からクソ暇。

仕方なく1時間ほど昼寝をして、14時過ぎに起きて外に出てみたら結構雪が降ってました。
上の方は風が強いみたいで、ゴーゴーと風の音が鳴っていて、やっぱり今日は山頂に行かなくてよかったと思いました。

携帯の電波はバッチリ入ったので、夕方になってヤマテンの翌日の予報を見てみたら、晴れの予報にはなってましたが「西寄りの暴風が吹き荒れ、地吹雪状態に。」と書かれており、気温はマイナス20度、西北西の風30m/sという予報を見てちょっとビビる。

風速30m/sと聞いても、いまいち強さがピンとこないですが、風速20m/s台中盤ぐらいから行動が難しくなると聞いたことがあるので、まぁヤバイ風ということでしょう。
僕がこれまでに経験した一番強い風は、去年の旭岳東稜に行ったときに、旭岳からツルネまでの稜線で受けた風。
あのときの風と同じかもっと強い風だとしたらかなり厳しいなと思い、地形図を眺めながら、西北西の風だとどの辺りで強い影響を受けるのかを予想してみる。

八合目まではおそらくそんなに風は受けないだろうけど、そこから先は暴風かもしれない。
八合目から先は危険個所が連続するらしいので、とりあえずその辺まで行ってみて、そのときの状況でまた考えようと思い、とりあえず夕飯を食べて寝ることにしました。

今回のシュラフはナンガのオーロラ600。
僕が持っているシュラフの中では2番目の暖かさですが、テントシューズやダウンパンツを履いていればこれでも大丈夫じゃないかと思い、今回試しに持ってきてみましたが、足先が冷えてどうにも眠れず。
20時ぐらいになっても寝付けなかったので、できれば使わずに済ませたかった禁断のアイテム「貼るカイロ」を足の裏に貼って、ようやく眠りにつくことができました。

ちなみに後で聞いた話だと、翌朝の七丈小屋の気温はマイナス17度だったそうです。



2日目。
予定では日の出前に出発するつもりで、午前4時に起きてご飯を食べましたが、こないだの赤岳鉱泉のときのマッサンの真似をして袋ラーメンを2つ食べたら、朝から満腹になり過ぎて動けなくなり、食休みのつもりでシュラフに入って横になっていたら、二度寝してしまい、6時頃に他のパーティが出発していく音で再び目覚めました。

身支度をしてテントを撤収していたら、6時44分に日の出を迎えました。
テント場でこうやってのんびり日の出を眺めるなんて、考えてみたらすごく久しぶりです。

テントを撤収して荷物をまとめてから、幕営用具はテント場にデポして、7時少し前に出発。



テント場を出発してから八合目までは広い緩斜面を登ります。
もっと登っていくと木が少なくなってきて、降雪直後は雪崩が起きやすい場所になると聞いていたので、昨夜の降雪がちょっと心配でしたが、数センチしか積もっていなかったのと、既に先行パーティが歩いた後だったので、まぁ大丈夫だろうとトレースを辿って登りました。



八合目に到着。
意外なことに風はたいして強くなく、普通に歩けます。



甲斐駒のシンボルの2本の剣のある岩が見えてきました。
ちょうど先行パーティがその岩のすぐ下の辺りを登ってます。

写真の中央の左下に見えている大きな岩の右側のルンゼ状の部分が核心らしく、特に下りで死亡事故が何件か起きているそうです。



このナイフリッジを越えた先が問題の核心部。
死亡事故が起きていると聞いていたので、かなりドキドキしてましたが、雪の状態がよかったようで、傾斜もかなり緩く、何の問題もなく通過できました。



例の2本の剣がある岩まで来ました。
どうやってあそこに剣を立てたのか気になります。



ついに山頂の祠がちょっと見えてきました。



そして無事に山頂に到着。



心配していた風は山頂でもたいして強くはなく、のんびりと記念撮影ができました。
しかし生憎の雲がかかっていて景色は全く見えず残念。

風が止んでいるうちに急いで下ることにします。



下っている途中で、少し雲が晴れて仙丈ケ岳が綺麗に見えました。



あとはこの長大な黒戸尾根をひたすら下ります。
核心部のルンゼのところでの下降の為に30mロープを持ってきてましたが、結局ロープは使わずに普通に歩いて下れました。



五合目まで降りてきて、山頂の方を見ると雲がすっかりなくなってよく晴れてました。
今山頂にいたら絶対すごい景色なのになぁと思うとちょっと悔しいですが、それはまた次回のときの楽しみですね。



山頂から5時間ほどで下山して、駅までタクシーに乗って帰りました。

写真は長坂駅のホームから見た甲斐駒ヶ岳。
やっぱりかっこいい姿です。
とうとう念願の黒戸尾根を登ることができて、本当に嬉しい。
雪の状態によってまた難しさも全然違ってくるみたいなので、また来てみたいです。
やっぱり八ヶ岳より人が少なくていいなと思いました。


今回のルート


1日目
6:30 尾白川渓谷駐車場
↓ 3時間20分
9:50 刃渡り
↓ 1時間5分
10:55 五合目小屋跡
↓ 1時間35分
12:30 七丈小屋

2日目
7:00頃 七丈小屋
↓ 37分
7:37 八合目御来迎場
↓ 59分
8:36 甲斐駒ヶ岳
↓ 1時間5分
9:41〜10:13 七丈小屋
↓ 47分
11:00 五合目小屋跡
↓ 3時間10分
14:10 尾白川渓谷駐車場
Comment Box is loading comments...


山日記メニューへ