爺ヶ岳 東尾根(敗退)


2019年1月10日(木)〜11日(金)
いとしゅーさんとマーシーと、爺ヶ岳東尾根に行ってきました。
なにげに僕は初めての冬の北アルプスです。

鹿島集落の登山口のところにテントを張って前泊し、7時20分に出発。



まずは稜線へ向けて急な斜面を登ります。
前日に降雪があったようで、トレースは全くなく、いきなりのラッセル地獄。
途中からワカンを着けて登りましたが、1300m地点のコルに上がるまでに2時間ぐらいかかりました。



その後もずっと太腿ぐらいまでのラッセルが続きます。
先頭はかなり体力を消耗するので、50歩ごとに先頭を交代してラッセルしながら進みしたが、
ジャンクションピークの手前で僕といとしゅーさんは力をほぼ全て使い果たしてしまい、
途中からはマーシーがずっと先頭でラッセル。

二番目以降は先頭に比べたらずっと楽なはずなのに、どういうわけか、
先頭でラッセルをしているマーシーに追いつくこともできませんでした。

今回の冬山の為のトレーニングとして、重荷を背負って低山を歩いたりもしましたが、
雪のない道を歩くのとラッセルでは動きが全然違くて、トレーニングが役に立った感じはしませんでした。
ラッセルだと足を遠く高く上げて一歩ずつ進むので、一歩ごとに片足で立ち上がるような感じで、
延々と続く片足スクワット地獄に僕の太腿はすぐに限界を迎えてしまい、自分の力の無さを本当に悔しく思いました。



ジャンクションピークを過ぎると、それまでよりは雪が若干硬い感じになり、
少し歩きやすくなってきました。

目の前に本日の目標地点のP3が見えてきましたが、この時点で時刻は14時半頃。
この辺りから幕営適地を探しながら歩きます。



P3までもう少しのところでしたが、幕営にちょうどいいところがあったので、
1日目の行動はここで打ち切り、テントを設営することにしました。

ちょっとだけ斜めの場所でしたが、スコップを使って雪を高いところから低いところにやって、
足で踏んで固めて平らにしてテントを設営。

テントを張った後は、1人は中に入って重しにならないといけないので、
中に入る人と外で作業する人で役割分担して、それぞれ作業をします。
ここでもマーシーが外で張り綱を張ったり、みんなの靴に付いた雪を落として綺麗にしてくれたり、
面倒で大変な作業を率先してやってくれました。

その間に僕といとしゅーさんは水作りをして、作業がひと段落してから夕飯を食べましたが、
僕は途中から気分が悪くなってしまい、夕飯が全然食べられずに嘔吐してしまいました。

先月の八ヶ岳のときも、一年前の冬に甲武信ヶ岳に行ったときも、
テントに入ってしばらくしてから気分が悪くなって吐きましたが、
冬にテント泊をするといつも高山病みたいになります。
高山病は水分不足が原因とよく言われますが、確かに冬場は水分をあまり摂らないで登ることが多いので、
今度から何か対策をしてみようと思います。

僕はその後しばらくぐったりして横たわっていましたが、
その間にいとしゅーさんとマーシーは明日の戦略会議をしていました。

ここまでのラッセルの感じだと、ここから先も同じような状況だったら、
時間的に登頂はまず無理だろうなと僕は思っていましたが、隊長のマーシーはまだ登頂を諦めてはいませんでした。

入念に検討を重ねた結果、2時に起きて暗いうちから歩き続ければ登頂できる可能性ありということで、
翌日は山頂を狙うことにして19時に就寝。

そして7時間後の2時に起床。
僕の体調もすっかり回復したので、昨夜食べられなかった分までがっつり食べて、しっかり栄養を補給します。
しかし朝食の準備をしようとしたら、バーナーの火が点きません。
おかしいなと思って換気をしようとしたら、テントに結構雪が積もっていることに気がつきました。
どうやら夜の間に雪が降っていたようで、30センチぐらいは積もっていて、しかもまだ降り続けていました。
こうなってしまうと、このテント場からの下山の時間も読めなくなってしまうので、
山頂アタックは諦めて下山することに決めて、朝食を食べてから二度寝。



6時半に再び起きて、テントを撤収して下山を始めます。

テント場のすぐ近くに小さなピークがあったので、とりあえずそこに登って、
今回の最高到達点でP3をバックに記念撮影。
無念の表情の僕です。



下り始めてしばらく歩いていたら、晴れてきて爺ヶ岳が姿を見せてくれました。



左の手前からP3、P2、P1、そして中央が爺ヶ岳中央峰。

北アルプスの爺さんは、僕が想像していたのよりもずっと厳しい爺さんでしたが、
最後に「また来いよ〜」と優しい笑顔を見せてくれているような気がしました。



ジャンクションピークへと向かう稜線。
昨日ここをラッセルしながら歩いてきたというのが信じられないぐらい、
一晩ですっかりトレースが消えてしまっています。



そんなわけで、結局下りも腰までのラッセル。
北からの風が強くて、顔の左半分だけすごく痛かったです。



ジャンクションピークまでは強い風が吹いていましたが、ジャンクションピークを過ぎると全くの無風。

この日はテントを出発したときからワカンを着けていましたが、
僕だけ歩いているうちにワカンがずれて、途中で2度も締め直しました。

体力不足だったり、経験が少ないところで仲間に迷惑をかけてしまうのは仕方ないにしても、
ワカンの装着なんて、家でもいくらでも練習ができることなのに、
僕だけが上手くできないというのが本当に情けなくて、自分の至らなさを痛感しました。



最後の急斜面の下りは、ちょいちょいシリセードで滑ってすぐ降りられて、
3時間ちょっと下山できました。

今回の山行では、仲間達から、そしてお爺さんから、本当に多くのことを学びました。
せめて仲間の足を引っ張らないで一緒に登れるように、もっとしっかりしなきゃいけないなと思います。


今回のルート


1日目
7:20 鹿島山荘
↓ 6時間30分
13:50 ジャンクションピーク
↓ 1時間25分
15:15 P3手前の幕営地

2日目
7:40 P3手前の幕営地
↓ 55分
8:35 ジャンクションピーク
↓ 2時間25分
11:00 鹿島山荘