天狗岳


2016年3月11日(金)~3月12日(土)

もう3月ということで、そろそろ冬山のシーズンも終わりが近づいてきました。
今シーズンの冬山は北横岳と雲取山に登りましたが、冬が終わる前にもう1度テント泊で雪山に登りたいと思い、
また八ヶ岳に行くことにしました。

今回登る山は、北八ヶ岳の天狗岳。
久しぶりにピッケルを持っての、本格的な雪山登山です。

いつものように特急あずさに乗り、茅野駅からバスに乗って、登山口の渋の湯に到着。
1日目はあいにくの曇り空です。



一週間ぐらい前から、山小屋のブログを見たり、天狗岳に登った人の記録を見て、雪の状態を調べていましたが、
3月の初め頃は、登山道の雪は融けて凍ってを毎日繰り返していたらしく、
どの記録を見ても登山口からアイゼン必要と書かれていたので、
カッチカチの氷化した登山道を歩くことになると思っていました。

ところが3日前の3月8日の夜に30センチの積雪があったそうで、登山道の雪はサラサラの新雪。
こないだの北横岳での教訓を生かして、今回はアイゼンとチェーンスパイクを両方持ってきていたのですが、
何も装着しないでも快適に歩けました。



ちなみに1日目は黒百合ヒュッテでテント泊して、2日目に天狗岳に登頂するスケジュールです。
渋の湯から黒百合ヒュッテまでの道は、樹林帯の中の登りがひたすら続きます。



スタートから2時間半で黒百合ヒュッテに到着。
いつの間にかすっかりガスが出てきています。



ここら辺にテントを張ることにします。
ちなみに写真に映っているザックは、新しく買ったモンベルの90リットルのザック。
60リットルザックで冬山テント泊装備を担ごうとすると、ザックの外に色々と着けないといけないので、
全部ザックの中に入れられるように大きいのを買いました。

僕が到着したときに、既に他の人のテントが1張りありましたが、
テント場の他の部分は積もったままのきれいな雪で、こないだの積雪から誰もテント泊をしていないみたいでした。



まずはテントを張る場所を踏み固めて整地します。
新雪でサラサラしているからいくら踏んでも固まらず、シャベルで均したりもしてみましたが、
結局うまくいかずデコボコのままテントを張りました。



そしてテントを張ってスノーフライをかけて、スノーペグを雪に埋めて固定して、
スノーフライのスカート部分に雪を乗せて完成。
整地に大分手間取ってしまったのと、グローブを着けたままの作業が難しくて、
設営開始から完了まで1時間もかかってしまいました。
整地のときの幅が狭かったみたいで、テントの横幅がちょっと小さくなっています。
この辺りは初めてだから仕方ないですが、要練習ですね。

テントを張り終わって中に入ったのが16時頃でしたが、その後少しうたた寝して、
18時頃から夕飯を作って食べて寝ました。

寝袋はこないだと同じイスカのエア900SLで、ダウンジャケットとダウンパンツとテントシューズを履いて寝ましたが、
快適な暖かさでぐっすり眠れました。



翌朝は4時に起床。
起きてみたらテントの内側に霜がびっしり付いていて、シュラフの表面にも霜が付いていました。

起きてから雪を融かして水を作り始めて、朝食を作って、お茶を飲むための水を作ってお茶を飲んで、
それから携行するための水を作ってと、起きてからひたすら水を作ってました。
冬山では水場が使えないので、水作りがどうしても必要になりますが、この水作りがなかなか面倒です。



2日目の朝は雲ひとつない良い天気です。
小屋の温度計ではマイナス16度になっていました。



テント場には僕のも含めてテントが4張り。
手前から3つ目のが僕のです。
モンベル率が高いですね。
ちなみに全員単独でした。



アイゼンを装着して、ピッケルを持って、6時ちょっと過ぎに黒百合ヒュッテを出発。
すぐに中山峠に着きます。



中山峠から天狗岳方面に少し進むと、とうとう樹林帯が終わって、森林限界に出ます。



やっと見晴らしの良い場所に出ました。
雲海が綺麗です。



そして正面には天狗岳が姿を現します。
天狗岳は双耳峰で、左が東天狗岳、右が西天狗岳です。



まずは稜線沿いに東天狗岳を目指します。



稜線の風下側には雪庇が出来ています。
雪の表面にはシュカブラもできていて、この雪稜の感じがたまりません。



ちょっとした岩場もあります。
アイゼンで岩の上を歩くのはなかなか難しく、まだ慣れません。
手前の左のはハイマツでしょうか。すっかり雪と同化しています。



頂上直下の岩場。
後で調べて知ったのですが、この岩は「天狗の鼻」と呼ばれているらしく、
天狗岳の名前の由来になっているそうです。



天狗の鼻を越えると、もうすぐのところに山頂が見えます。



そしてついに東天狗岳の山頂に到着。



そのまま西天狗岳の方へ進みます。



東天狗岳までの道は1人分のトレースがついていましたが、
西天狗岳の方へはトレースがありません。
道の痕跡みたいなものがうっすらと見えてはいるので、とりあえず適当に登ることにします。



膝までのラッセルで急斜面を登ったりしてなかなか大変でしたが、20分ほどで山頂に到着しました。
写真は西天狗岳の頂上から見る赤岳。
冬の赤岳にもいつか登りたいです。赤岳の手前の横岳の方が通過するには難しそうです。
右に見える阿弥陀岳も大きくてかっこいいです。



西天狗岳の山頂は真っ白いだけで何もなく、山頂標識は雪に埋まってしまっていたのか、見つけることができませんでした。

後は自分でつけたトレースを辿って戻ります。
写真ではちょっと見にくいですが、ちょうど中間地点の影になっている辺りに、僕のトレースを辿って登ってくる人がいます。
東天狗岳の方を見ると、続々と人が登ってくるのが見えます。



登ってきた人とすれ違って、僕がラッセルした跡を辿って登っているところを見ると、
俺はトレースが無いところをラッセルして登ったんだぜっていう、ちょっと誇らしい気分になります。

ラッセルって大変だけど、自力で登ったっていう達成感がすごくあって最高です。
今日の最後の登りである西天狗岳への登りで、ラッセルをしながら登頂できたことは本当に幸運でした。



鞍部の辺りで、東天狗岳をバックにセルフタイマーで記念撮影。



西天狗から戻るときに、東天狗岳の手前からトラバースしていく道があると聞いていたので、
その道を探してみましたが、トレースはおろか道の痕跡も全く見つからず、
仕方ないので適当にラッセルしてトラバースしてみました。

3つ上の写真の、登りが始まる辺りから真っ直ぐ左の方へと進んでいった感じですが、
稜線の道に戻るポイントが分からないままラッセルを続けていたら、
途中で腰ぐらいまで埋まる地帯に入ってしまい、これはヤバイと感じて、
その辺りから強引に直登して稜線に復帰しました。
間違ったトレースを残してしまったので、辿って来る人がいたらちょっと恥ずかしいです。

まぁ、道がないところをラッセルして進むんだから、多少のルートミスは当たり前ですよね。
そう考えると、安易に他人のトレースを辿って登るというのは、すごく危険なことだなとも思います。



そんなこんなで、なんとか無事に降りてきました。
本当に最高の天気で、もう終わりなのがちょっと寂しいです。



9時ちょっと過ぎに黒百合ヒュッテに到着。
当初の予定では、このまま黒百合ヒュッテでのんびり過ごして、14時55分に渋の湯発のバスに乗って帰るつもりでしたが、
予定より早く黒百合ヒュッテまで帰ってこれたので、急いで下山すれば1本前のバスに乗れるかもしれないと思い、
急いでテントを撤収して下山しました。

ちなみにテントを撤収してパッキング完了するまでにまた1時間近くかかってしまいました。
しかも、グローブで作業するのが煩わしくて何度か素手になって作業をしたせいで、
指先がちょっとだけ凍傷っぽくなってしまったようで、
左手の親指と人差し指、右手の親指と人差し指と中指の指先に、
爪を切りすぎて深爪になってしまってときのような痛みがしばらく残りました。

テントの設営と撤収、撤収の際のパッキングについては、
グローブを着けたままでも手早くできるように、もっと練習が必要だと感じました。
せめてインナーグローブだけでも外さないで、紐を結んだり解いたりぐらいはできるようにしておかないといけないですね。

写真を撮るときにも何度かグローブを外しましたが、
カメラの操作みたいな細かい作業でもグローブを着けたままできるように、
次からは何か工夫をしないといけません。



黒百合ヒュッテからはノーアイゼンで駆けるように下り、渋の湯までの間はコースタイムより40分も短い1時間で下山。

テント泊装備であっても、下りでは重量はあまり苦にならず、スピーディーに下れました。
雪の状態によって歩きやすさは大分変わるんだと思いますが、ちょっと雪があってクッションになるような感じであれば、
無雪期よりも下りは楽なんじゃないかなと思います。

無事に11時35分のバスに乗れて、夕方には家に帰れました。



今回のルート

1日目
11:45 渋の湯

14:12 黒百合ヒュッテ


2日目
6:05 黒百合ヒュッテ

7:40 東天狗岳

8:03 西天狗岳

9:06~10:05 黒百合ヒュッテ

11:12 渋の湯

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