二子山中央稜


2015年11月5日

保科クライミングスクールの講習で二子山中央稜に登ってきました。

今年は、4月の鷹取山を始めとして、日和田山、岳嶺岩、越沢バットレス、広沢寺と、何度もロープワークの講習を受けてきました。
それも全て、いつか行く本番のアルパインルートの為にやってきたことでしたが、ついに今回、二子山中央稜に行く機会に恵まれたのです。

二子山は標高が1165mと低いので、アルパインルートというのは気が引けますが、岩壁を登って頂上を目指すという点では正しくアルパインルートであり、菊地敏之の「日本マルチピッチフリークライミングルート図集」では、「手軽に楽しめるミニ・アルパインルート」と書かれています。
全部で6ピッチのルートで、核心部は3ピッチ目。最高グレードはV〜V+(5.7)。
夏は暑くて敬遠される為、このぐらいの時期が一番混むらしく、土日になると行列が出来て待ち時間が凄かったりするそうです。

今回は保科さんと僕とUさんの3人で登ります。
Uさんは去年から保科クライミングスクールに通っているそうで、フリーの最高グレードは5.10dぐらいのようです。
ちなみに、僕はいつもトップロープでばかり登っているので、最高グレードは5.7。恥ずかしいので早く更新したいです。



登山口から少し歩くと股峠というところで分岐になっており、そこから坂本方面へ少し進むと、小さな祠がある岩壁が見えてきます。
ここにもフリーのルートがたくさんあり、祠エリアと言われているそうです。



二子山の岩は石灰岩で、永い年月をかけて鍾乳石のように育つ「コルネ」というのが出来るのが石灰岩の特徴だそうです。
AKIRAとかのアニメに出てきそうな、膨れ上がる感じのボコボコが不気味です。



さらに進むとまた分岐があり、ここの分岐をローソク岩方面に進みます。



するとやがて巨大な岩壁が見えてきます。
赤いドラム缶が取り付きの目印になっています。



1ピッチ目。
保科さんがリードで、僕がセカンド、Uさんがラストで登ります。
ホールドは全てガバで快適に登れます。



2ピッチ目。
ここも特に問題なく登れましたが、フェイスの途中でルートが大きく右に行くので、自分がリードだったらルートが分からないところでした。



そして核心の3ピッチ目。
凹角のクラックをレイバックで登って行きますが、クラックの終わりぐらいのところで、どうしてもホールドが見つからなくなってしまいました。
わりと垂直に近いところで足場もなく、しばらく辺りを見回して考えましたが、諦めてヌンチャクを掴み、一手だけA0で登りました。

ちなみにA0というのは人工登攀のグレード表示で、プロテクションをホールドやスタンスにする場合のことを指します。アブミを使うような場合はA1になります。
フリークライミングの「フリー」というのは、前進するのに道具を使わないということなので、フリークライミングであればヌンチャクを掴んだりしてはいけないのです。



3ピッチ目の核心で悩むUさん。
5.10dも登れる先輩が悩んでいるところを見て、「やっぱりあそこは難しいんだな」と思って自分を慰めます。



そして無事に3ピッチ目も終了。
ここまで来ると結構な高度感です。



3ピッチ目の終了点は、歩き回れるぐらい広いテラスになっているので、ここで少し休憩。
混んでいるときはここで何パーティか溜まったりするそうですが、今日は僕らだけの貸切でした。
先行パーティも後続パーティも居なくて、とても快適です。

写真に撮り忘れましたが、1ピッチ目と2ピッチ目の終了点も、3人が普通に立てるぐらいのテラスになってます。



そして4ピッチ目。
ここまでの3ピッチと比べると、4ピッチ目以降はかなり簡単で、特に難しいところもなくスイスイ登れます。



5ピッチ目。
ここも余裕。



6ピッチ目。
ここも全く問題なし。
4ピッチ目以降ならフリーソロでも行けそうです。



6ピッチ目の終了点から、U級ぐらいの簡単なところを少し登って、頂上に到着。
ゲレンデでの練習と違って、ゴールが頂上というのは、やっぱりいい気分です。



頂上は細長い岩稜になっていて、少し離れたところに山頂の標識があります。



一応山頂の標識に寄って記念撮影。



登っている間もずっと見えてましたが、すぐ近くの両神山の八丁尾根の稜線がよく見えます。



下りは一般コースで下山。
登山道にも一般コースと上級者コースがあるようですが、上級者コースはなかなか激しいそうです。



早めに終わったので、フリーのゲレンデになっている弓状バットレスに寄って、少し登っていくことになりました。
ここには、国内最難ルートと言われている「フラットマウンテン(5.14d/15a)」というルートがあります。
全然平らじゃないのにフラットマウンテンとは変な名前だと思いましたが、元々ここには北山さんという人が拓いた「ノースマウンテン」という有名なルートがあり、それにちなんで、平山ユージが2003年に拓いたルートに「フラットマウンテン」と名付けたらしいです。



「悪魔のエチュード(5.10a)」にトップロープを張ってもらって登りました。
弓状バットレスのシンボルになっている「悪魔の指」と呼ばれる巨大なコルネを登るルートで、ルート図によると「日本一かぶっている5.10a」だそうです。
この角度の写真だと分かりづらいですが、実際かなりかぶっていて、ホールドを探している間にすぐ腕が疲れてしまい、すごく難しかったです。

Uさんはノーテンで登ってましたが、僕は途中で2回ほどぶら下がって休んで、トップロープの力も借りて何とか上まで登れました。
これほどのハングは初めてで、フットワークをどうすればよいのか全然分からず、ほとんど腕力で登った感じです。

ハングももっとジムで練習しないとダメですね。
保科さんからも言われましたが、まずは5.10aをリードで登れるぐらいを目標にしたいです。

二子山中央稜も、今回は全ピッチフォローだったので、もっとクライミングの練習をして、次に来るときはリードで登ってみたいと思います。
3ピッチ目をリードで登るには、クラックの練習も必要だと感じました。


今回のルート

9:50 二子山登山口

10:16 二子山中央稜の取り付き

11:45〜12:05 3ピッチ目終了点の大テラス

13:15 頂上の終了点

13:30 山頂標識

14:00〜16:00 弓状バットレス